サカナくロック2012 #01
サイズ:220mm×400mm×(t)42mm+軸突起5mm
欅・アワビ・アルミ板・プラスチック板
電波時計ムーブメント(誠時)
価格:80,000円(応相談:iichiのページで販売中)
2001年に作った同様のデザインの時計の姉妹作を作ってみた。
当時自作のホームページを始めたばかりの頃、遠方の見知らぬ方からご注文をいただき、制作・納品したのだがその後初代iMacがクラッシュした際、当時のデータを全て失い、その方のお名前や連絡先もわからなくなってしまったのだ。また、図面のデータも失ってしまっていた。
その後このデザインでもう一度作りたいとずっと思っていて、
今回の国立の画廊【アートイマジン】からのオファーで企画展【芸存9】というものに出展するための新作としてそれが実現したのだ。何とも11年越しである。
今回は大きさを2倍程度にし、材として使用したケヤキの木肌とも合間ってかなり重厚感のある仕上がりになった。アワビの貝殻の螺鈿部分は大きめのアワビ3個分を要している。
私の場合、アワビは自分で磨くとこから始めるのだが、荒砥で磨くのに1個あたり2時間程度かかる。夏なので汗だくの作業であった。
それをランダムに切り取った一片ずつ隙間なく貼り付けていくのだが、本体の曲線に合致した3次曲線とするためには一片の大きさは自ずと限られてくる。また一つのアワビの貝殻で使える部分は全体の約半分程度となる。もちろん、残りの部分は小片にして別の作品に使うのだが。この作業に丸二日かかるのである。
因みにベースとなる本体をジグソウで抜いて彫刻を施して仕上げるこの前の工程にも丸二日程度を要している。
時計の針は透明の円盤状を採用し、宙に浮いたかのようなラインストーンの輝く点が通常の針同様に時・分・秒を指す。アルミの文字盤は具象性の中で魚の目玉となっているので、放射状の表面処理の差での12分割を目盛り代りとして、実用性との均衡をとっているのです。実用品としての時計の機能を最低限保ちながら動くオブジェとしての美術品的表現に埋没させた。
この目玉=文字盤の表現が2001年の作品ではまだ実験的でやや消化不良だったが、今回完成を見たと思うのである。
この針も含めた目玉=時計の部分に丸一日要する。
ムーブメントは裏腹に正確さを究極的に保証する電波時計としたのは、ちょいとした洒落のつもりなのだ。
てなことで、合算すると完成までに都合丸五日ということで、¥80,000の価格づけとなる。この時計の魅力に強く惹かれてこれを妥当と感じてくださる方が居てくれた場合にのみ、この作品は商業的価値ひいては芸術的存在意義をも勝ち取るのである。
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